【会フ3年生】授業「マネジメント・ケーススタディⅠ」のご紹介

 会計ファイナンス学科教員の伊勢坊です。私が担当している授業「マネジメント・ケーススタディⅠ」を紹介します。

 この授業は、実務経験のある方々を講義にお迎えし、自身が携わった具体的なビジネスの実例経験をもとに、課題の発見から解決にいたるプロセスを、臨場感あふれる「ライブケース」として展開します。学生は、教員や実務家と共にディスカッションに参加し、当事者の視点に立って課題解決の現場を追体験することを目指し、ビジネスモデルを考え、発表します。各ケース共に、グループでビジネスモデルを練り、発表を行うため、負荷の高い授業ではありますが、学生からはとても好評な授業です。

 今回、奈良県橿原市役所デジタル戦略課デジタルコーディネーター及び兵庫県加西市役所CIO補佐官の大賀暁先生にご登壇いただきました。大賀先生は昭和女子大学現代ビジネス研究所の研究員としてもご活躍されています。今回は、奈良県橿原市の現状や課題、特に地方都市におけるデジタル施策についてご講義いただきました。

 学生に与えられたテーマは、「地域通貨・地域ポイントが橿原市で今後普及するための利活用のアイデア」です。地域通貨については、現時点で多数の導入事例があり、成功事例もありますが、失敗事例も増えつつあり、普及は容易に実現できるものではありません。成功事例から学ぶだけでなく、その成功事例をそのまま橿原市に適用できない可能性などを考慮し、さらに工夫、進化させ「橿原市ではこのような使い方、工夫をすれば普及する」というアイデアを出すことが今回の課題です。当学科の学生にとっては、これまで学んできた会計やファイナンスの知識を活かせるとともに、地方都市のデジタル政策や行政の課題を考える絶好の機会です。

 学生の提案は、地域通貨でコミュニティバスを割引利用するアイデア、中学高校の文化祭で地域通貨を活用するアイデア、付与したポイントを合算できる家族アカウントを導入するアイデア、学用品のフリマアプリで地域通貨ポイントを活用するアイデア等、多様な視点が導入されていました。アイデアを実現した場合に橿原市にどんな未来があるのかといった点まで視野に入れた提示をするグループもあり、経済効果だけでなく地域コミュニティの形成、維持、発展といった地域社会の在り方まで考えられていました。発表には、大賀先生の他に、奈良県橿原市の幹部の方々や兵庫県加西市の職員の方々もお越しくださり、コメントもいただくことが出来ました。学生にとっては貴重な舞台となりました。

 この授業では初めて地方行政の課題を扱いました。人々が住みやすい地域を作るためにどうすればよいのかを考えるというのは、よい商品を作り利益を生み出すことを考えることとは異なる難しさがあり、学生にとっては初めての経験だったかもしれません。しかし、今回の講義を通して自らの住む地域、それらが作る社会について、深く考える機会になったと考えています。貴重な機会を提供いただきました大賀暁先生に感謝申し上げます。